機械式腕時計の複雑機構(コンプリケーション)とは?

時、分、そしておそらく秒も含めて表示する以外に、機械式キャリバーにできることがある場合、腕時計作りの世界では「複雑機構(コンプリケーション)」を備えている、と言います。すべての追加機能には、歯車や部品を追加する必要があります-そのため、ムーブメントはさらに複雑なものになります。複雑機構は、グランドコンプリケーションとスモールコンプリケーションに分かれます。たくさんの高度な追加機能を装備した機械式腕時計には「グランドコンプリケーション」の称号が与えられます。ただし、この称号を得るために腕時計が何種類の機能を備えなければならない、という統一の定義はありません。

機械式腕時計の複雑機構には、どんな種類のものがあるのでしょう?

グランドコンプリケーションは、クロノグラフ、トゥールビヨン、アラーム、打鈴機構のリピーター、永久カレンダーなど、かなり高度な追加機能です。スモールコンプリケーションには、機械式腕時計の文字盤の日付表示や曜日表示、パワーリザーブの巻き上げ残量-つまりメインスプリングのテンション-表示などが含まれます。回転ベゼルはダイビングウォッチに欠かせません。さらに月相表示、第二時間帯表示やワールドタイム機能なども、よりシンプルながら日常生活には大変役立つ追加機能です。

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グランドコンプリケーション

複雑機構の一部は、すでになくなった過去の必要性に迫られて開発されたものです。しかし今でも、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、ラトラパンテ-クロノグラフ上で停止可能な2本目の秒針-などは、製造者の腕時計職人の技巧を実証し、どれほど魅惑的な複雑機構が可能かを表しているため、高級腕時計の機械式キャリバーのコンポーネントとして重要です。

トゥールビヨン

機械式腕時計のトゥールビヨンとは?

トゥールビヨンは、機械式腕時計の使用中にムーブメントの振動システムが専用の軸を中心に回転できるようにする高度な複雑機構です。このアイデアは、フランスの時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲが1801年6月に特許を取得したものです。彼は長年にわたり、懐中時計の振動システムに重力が与える影響について研究していました。当時の懐中時計は、主にズボンやベストのポケットに入れて身に着け、垂直のままになったため、テンプの重心が重大な問題でした。重力でテンプ枠(リム)の一点が地球の中心に引っ張られ、テンプの回転が加速・減速して歩度の誤差が生じたからです。ブレゲは、回転する枠内にテンプ一式を収め、この問題を解決しました。これはトゥールビヨンケージとも呼ばれます。その枠が専用の軸を中心に毎分1回転し、重心によるネガティブな影響を打ち消したため、これは機械式腕時計の精度を高める画期的な技術でした。トゥールビヨンは、常に手首上であらゆる方向に動く腕時計には不要です。それでも、当初手巻きムーブメントのために開発されたこの複雑機構を着実に洗練し続けた製造者たちは、自動巻きムーブメントにまで組み込むようになりました-それができるという事実を純粋に喜ぶためです。ノモス グラスヒュッテでも、2007年にWempe Chronometerwerke(ウェンペ社)のトノー型手巻き腕時計(参照番号WG74 0001)用トゥールビヨンを設計、製造しました。

ミニッツリピーター

機械式腕時計のミニッツリピーターとは?

ミニッツリピーターは、時刻を音で知らせる機械式ムーブメントの複雑機構です。1960年代に蓄光性化合物(ラジウムおよびトリチウムを含有)が腕時計の文字盤に使用される前も、17世紀にロンドンの時計師エドワード・バーロウとダニエル・クエアは、時刻を打鈴で反復する機構を開発しました。これは時刻を音響信号に変換するもので、文字盤が見えない暗闇で非常に大きな利点でした。1783年、アブラアン-ルイ・ブレゲは、ゴング・スプリングでこの発明をさらに進化させました。そして1892年、スイスの腕時計製造者、オーデマ・ピゲが打鈴のリピーター機構を備えた初の腕時計を発表しました。ミニッツリピーターを搭載した初の腕時計は、1910年に製造を開始しています。今日に至るまで、その仕組みは変わっていません。これらの腕時計は、時刻用ムーブメントに加えて独立した輪列と打鈴機構を備え、ケースのスライドピースを押し上げるとメインスプリングが即座に巻き上がります。その後、小さなハンマーが起動して時刻を音響で知らせるのです。リピーターを備えた腕時計は、針の位置を検知して処理し、針の位置によって異なる音響信号を発します。しかも電子技術を一切使用せず-歯車、カム、スプリングのみでこれを成し遂げるのです。

永久カレンダー

機械式腕時計の永久カレンダーとは?

永久カレンダーは、長さの違う各月やうるう年まで計算して日付を表示できる機械式腕時計の複雑機構です。永久カレンダーを調整し直す必要があるのは、うるう年をスキップする場合のみで、次回は2100年です。そのとき、暦上の年の数え方が実際の年の進行と一致するよう、簡単な調整が必要になります。永久カレンダーを搭載した初めての懐中時計は、18世紀に作られました。この特別な機能を1764年に初めて紹介したとして、その栄誉を歴史家たちはイギリスの時計師、トマス・マッジに与えています。1925年、永久カレンダーを搭載した初の腕時計をパテック フィリップが発表しました。永久カレンダーには、多数の歯車、小歯車、レバー、円板が必要であり、その設定や修正は容易なことではありません。そのため、この複雑機構には自動巻きムーブメントをお勧めします。ウォッチワインダーも一緒にご購入になれば、2100年2月まで何の心配もなくその腕時計を楽しむことができます。

クロノグラフ

クロノグラフとは?

クロノグラフは、ストップウォッチ機能を備えた腕時計です。ストップウォッチのスタートとストップ、スプリットセコンドのリセットには、ケース上のボタン1つまたは2つを使用します。ストップウォッチと違い、クロノグラフで測定する時間は小さなサブダイヤル-トータライザーとも呼ばれます-の秒針で表示されるため、表示中の現在時刻に関係なく時間を測定することができます。サブダイヤルには分や時間も表示可能です。
クロノグラフがさらに進歩したフライバック式クロノグラフは、セコンドボタンで針が瞬時にゼロに戻り、計時に必要な時間を短縮します。一部のクロノグラフは、高度計やコンパスも備えています。

腕時計作りの発明には、その先祖となる多数の発明が寄与することがよくあります。天文学研究用の機能として、1816年にフランスの時計師、ルイ・モワネが「コンター・ドゥ・ティエルス (Compteur de Tierces)」(1/60秒計)を制作しました。その5年後、シャン・ド・マルスの競馬場で、同国の同僚、ニコラス・リウセックがクロノグラフをテストしました。彼はそれを使用して、優勝馬ばかりでなく他の出場馬のタイムも計測したのです。その後、1862年にフライバック機能の特許を取得したのは、スイスの時計師、アドルフ・ニコールでした。

一般的な複雑機構

日付

機械式腕時計の日付表示とは?

日付表示は、男性用、女性用とも非常に人気のある機械式腕時計のスモールコンプリケーションで、一か月中の何日目かを示す機能です。日付表示の初の特許申請は、1915年にスイスで行われました。日付表示には、複数のオプションがあります。伝統的なポインターデイトは、中央に取り付けた長い指針で文字盤の外縁にある目盛りを指す、または中央から外れたサブダイヤル上で小さな指針が示すものです。ラージデイトは、2枚の円板で表示します。その2枚はわずか0.15ミリの隙間を空けて重なって回転します。円板2枚の高さの違いを隠すため、グラスヒュッテの製造者、A.ランゲ&ゾーネのモデルには、2つの数字の間に格子の桟を載せたものもあります。一方、グラスヒュッテ・オリジナルが特許を取得したパノラマデイトは、サイズの異なる同心の2枚の円板を接触しないように並べて配置します。左側に見える小さな円板には0から3まで、右側に見える大きな円板には0から9までの数字が付いています。しかし、最も一般的なのは日付ウィンドウによる日付表示で、通常3時または6時の位置に配置されます。その下にある日付ディスクの1から31までの数字を表示します。スイスの腕時計ブランド、ロレックスは1956年、デイデイト(曜日+日付)モデルを発表しました。これは文字盤の12時の位置に独立したウィンドウを設け、円板で曜日の完全なスペルを表示するもので、複数の言語オプションが可能です。ノモス グラスヒュッテでも、独自の日付表示を開発して特許取得済です。ムーブメントの周縁に配置した日付リング上の別色のマーカーで、現在の日付を両側から挟むように表示します。

機械式腕時計の日付機能の仕組みは?

ムーブメント中央の日の裏車が一連の歯車を介して日付ディスクに接続し、日付の変更を制御します。日付を厳密に深夜0時に変更する場合、時計学用語では「瞬時切替」と呼びます。深夜0時、わずか数ミリ秒の間に日付ディスクの数字が1つ進みます。もう一つのオプションは「半瞬時切替」で、深夜30分前から当日の日付の数字が徐々に日付ウィンドウから外れ、翌日深夜頃にその日付に変わるというものです。

機械式腕時計の日付機能の操作禁止時間とは?

機械式腕時計の日付は、午後9時から翌日午前3時までの間に次の日付に切り替わります。この間、ムーブメントの部品は日付機能の歯車とかみ合っています。部品がかみ合う禁止時間中は、リュウズで手早く日付合わせをするべきではありません。ムーブメントが破損する可能性があります。

ノモスキャリバーDUW 6101

1845年、グラスヒュッテで初代時計師たちが仕事を始めて以来、このドイツ南東部の小さな町で、携帯時計・腕時計業界全体の新標準を確立してきました。今日では、高精度の製造技術とシミュレーションソフトウェアにより、設計者たちのムーブメント開発に新境地を開いています。この革新的な次世代ムーブメントの一例がDeutsche Uhrenwerke NOMOS Glashütteの自動巻きキャリバー、DUW 6101で、2件の特許を取得済の日付機能が特徴です。ノモス グラスヒュッテは、日付表示と日付機構自体の両方に特許を取得済です。回転する日付リング上の別色のマーカーによる(「アップデート」表示と呼ばれます)表示、そしてプログラムディスクによる日付切替機構の2件です。

  • 日付リングの配置
    DUW 6101の日付複雑機構は、他のキャリバーに典型的な、ムーブメントに取り付けるものではなく、ムーブメントに一体化したもので、日付リングをムーブメントの外縁に配置します。デザインの観点からは、これで新しい可能性が生まれます-回転型の日付表示で、1日だけでなく1か月全体を把握できるのです。
  • 両方向に手早く日付合わせ
    大部分のキャリバーは、日付合わせの方向が前進のみの一方向です。仮に腕時計が7月2日で止まってしまい、8月1日に合わせなければならないとすれば、一度に日付を30日も進めなければなりません。ノモス グラスヒュッテがネオマティック・キャリバーDUW 6101のために開発した日付機能は、どちらの方向にも手早く日付合わせができ、逆方向でも可能です-これはメリットの大きな機能拡張です!ノモス グラスヒュッテの両方向日付調整機能の仕組み:リュウズが輪列を介して、5つ突起のある修正車に接続しています。リュウズをポジション2まで引き出すと、修正車はリュウズの回転に合わせて左右どちら向きにも回転が可能で、それに合わせて日付リングの数字が1歩ずつ前進または後退するのです。
  • 操作禁止時間の短縮
    ノモスDUW 6101日付キャリバーの操作禁止時間は、従来の日付複雑機構付きムーブメントと比較して短縮されています。高精度自動巻きキャリバーの日車は小さく、24時間に1回ではなく4回も回転します-つまり4倍の速度ということでもあります。4回目の回転のみが、丸みを帯びた三角の小さなホイール(プログラムディスクと呼ばれます)によって切替爪を起動し、それが日付ディスクにかみ合って1歩回転させるのです。日車の回転が速ければ、操作禁止時間の大幅な短縮が可能です。ネオマティック・キャリバーは、日付の切り替えに約30分しか必要なく、操作禁止時間も6時間ではなく、90分のみです。
  • 操作禁止時間中のムーブメント保護
    もしも操作禁止時間を忘れてしまい、ムーブメントと日付切替がかみ合っている間に日付合わせをしようとするとどうなるのでしょう?リュウズを回しても何も起きません。この場合、DUW 6101に搭載したトルククラッチがムーブメントを保護するからです。ですから、リュウズを回してもその力がどこにも伝わらないのに気づくでしょう。クラッチの回し車は、スプリングで修正車を恒常的に押さえつけています。深夜、切替爪が日付ディスクとかみ合います。リュウズを動かすと、クラッチが一定のトルクを解放し、2つの面が離れて回転するため、日付機能が破損することはあり得ないのです。

日付機能を備えた腕時計

パワーリザーブ・インジケーター

機械式腕時計のパワーリザーブとは?

パワーリザーブとは、機械式腕時計のメインスプリングに貯留して残っているエネルギーのことです。パワーリザーブ・インジケーターは、その貯留分の現状を文字盤上で視覚的に表し、腕時計を巻き上げなければならない時点、自動巻き腕時計を揺り動かさなければならない時点を指示します。デザイン上の観点からは、メインスプリングのテンションの残余分を示すさまざまな方法があります。残りの駆動可能時間は、数値化して時間数として表すことも、エネルギー量を満タンから空まで指針で示すことも、目盛りで直線上に表すことも可能です。これらは、多々あるオプションの数例に過ぎません。この複雑機構は、民生用腕時計の追加機能として、自動巻き腕時計の出現と同時に前世紀中盤から人気を得るようになりました。実際にローター駆動のキャリバー自体がムーブメントを通して巻き上げることを目に見える形で証明したからです。すでに長い間、自動巻き機能に慣れ親しんできた現代の人々には、手巻き腕時計のパワーリザーブ・インジケーターが大切で、適切な時間に巻き上げを忘れないために活用しています。車の給油と同じで、インジケーターが「満タン」に戻るところを眺めるのも楽しいものです。

機械式腕時計のパワーリザーブ・インジケーターの仕組みは?

香箱内のパワーリザーブを腕時計の文字盤に表示するため、インジケーターを香箱内の巻き上げ機構に接続しなければなりません。これは通常、歯車を介して行います。メインスプリングのテンションが増す(自動巻き腕時計を揺り動かしたり、手巻き腕時計のリュウズを巻き上げたり)と、表示機能に変化が生じます。デザインにより、指針が最大量の方向に動いたり、テンションの増加を数値に変換したりするのです。スプリングが緩むにつれ、パワーリザーブ・インジケーターのメカニズムが逆行していきます。

ノモス グラスヒュッテの機械式腕時計に、特許取得済のパワーリザーブ表示

ノモス グラスヒュッテのオート・オルロジュリー・コレクションには、パワーリザーブ表示を特徴とするラムダという手巻きモデルがあります。DUW 1001キャリバーには香箱を2つ備えているため、文字盤上に大型の指針方式で、両方の香箱を一体化する伝統的な差動歯車を介して、最低84時間分のパワーリザーブが可能です。メトロ、タンジェント、テトラの一部のモデルも、パワーリザーブ・インジケーターを備えています。これもノモス グラスヒュッテ独自の特許取得済機能に基づくものです。ノモス グラスヒュッテの開発によく見られることですが、この技術の粋は、シンプルを目指す姿勢にも根差すものです。キャリバーDUW 4301およびDUW 4401の複雑機構は、輪列を使用しないノモスバージョンで、わずか3つの部品で香箱に直接一体化されます。エネルギーレベルは、文字盤上の12時と2時の間に配置した丸いウィンドウに三日月型で表示されます。両キャリバーとも2.8ミリの厚みで、複雑機構のないノモスの手巻きキャリバーの古典、アルファと比較してわずか0.2ミリ厚いだけです。

パワーリザーブ・インジケーターを備えた腕時計

月相表示

機械式腕時計の月相表示とは?

月相表示は、機械式ムーブメントのスモールコンプリケーションで、次の満月または新月が近いかどうか、それがいつかを表します。15世紀以来、振り子式天文時計には太陰周期が表されています。毎月の「月」は、空の月から生まれた言葉ですが、暦上の固定した月の長さとは一致しません。各太陰周期は29日12時間44分3秒、約29.5日ということです。どんなときにも、曇り空であっても、月がどんな形(相)かを知るため、機械式表示が役立ちます。また、腕時計のデザインへの装飾的な可能性も広いため、20世紀に腕時計が生まれて以来、特に女性用腕時計の製造には非常に人気の高い複雑機構です。

機械式腕時計の月相表示の仕組みは?

ムーブメント内の最もシンプルな月相表示の制御は、2つの月の形を描いた円板で行います。これは59本(29.5日の2倍)の歯が付いた歯車で駆動するため、1回転の全周が太陰周期2回に対応します。円板が連日、一日中進み続けるため、その回路を日付機構と組み合わせられる利点があります。約3年を経過すると、実際の月相の余分な分数が約1日分になるため、手作業で調整しなければなりません。もちろん、一層高い精度を目指した設計もあり、その場合は100年ごと、または1,000年ごとに1回調整すればよいものもあります。また、美的に洗練された実装方法として、日中と夜間の月の進行を表すもの、南半球または北半球の周囲の星空を表すものもあります。機械式であると同時に芸術的な方法で、手首に天体事象を装えるということに大きな魅力があります。

ワールドタイム・インジケーター

「ワールドタイム」とは?

地球は24のタイムゾーンに分かれ、それぞれの時差は1時間です。西から東まで15度ごとに時刻が1時間進みます-ただし、自国で独自のタイムゾーンを設定している国もあります。とは言え、大部分の国では統一システムに従っています。これは、1884年にイングランドのグリニッジで太陽が南中する時刻を正午として本初子午線(GMT:グリニッジ標準時)を確立し、世界中に数えきれないほどあった現地時間の慣習を徐々に置き換えていきました。これは、何よりも鉄道の重要性の高まりから必要になっていました。移動時間と現地時刻を関係付けられるよう、当初アメリカの鉄道会社は、それぞれ独自の時刻システムを導入していました-つまり、複数の路線が乗り入れる駅では、複数の時計が必要だったのです。ドイツでは、現地時間が1893年に標準化され、中央ヨーロッパ時間 (CET) につながりました。これはグリニッジ標準時に1時間をプラスしたものです。それ以前は、同国だけを見ても南西地域の鉄道時刻には最大20分の差がありました。536平方キロの面積にわたるボーデン湖(コンスタンツ湖)周辺を移動する旅行者は、5回も時計を調整する必要があったのです。

機械式腕時計のワールドタイム表示の仕組みは?

ワールドタイム表示機能のある腕時計は、地球上の24のタイムゾーンをすべて文字盤上に表示し、少なくとも1つの都市を基準都市として利用します。さまざまな表示オプションがあります。例えば、文字盤の外周に都市名ディスクを配置する、プッシュボタンまたはリュウズで起動する、その都市の現地時間に結び付ける、それをサブダイヤルに表示するなどのオプションです。または、文字盤上に都市名ディスクを配置して現地時間と結び付け、全タイムゾーンを一度に表示する方法もあります。ワールドタイム機能は、回転ベゼルでも調整可能です。追加機能で、現在各地が昼か夜か、また夏時間の実施中かどうかを表示することも可能です。そしてもちろん、各タイムゾーンを代表する都市名は、すべての機械式腕時計で同じではありません。都市名の選択も、世界をどのように捉えるかを表明したり、一定のグループの人々を対象としたりする面白い方法です。国際ビジネス、旅行、遠方にいる家族との心のつながりなどを問わず、ワールドタイム機能が役立ちます。人々を結び付けながら、同時に遊び心もある複雑機構です。

ノモス グラスヒュッテの機械式腕時計のワールドタイム機構

自動巻きムーブメントのDUW 5201は、ワールドタイム機構を備え、自社製の脱進機、ノモススウィングシステムを搭載したノモスキャリバーです。都市名ディスクと24時間表示で、自分がいない場所の時刻や、そこが昼か夜かもすぐ確認できます。ワールドタイムキャリバーを使用する2つのモデル:タンゴマットGMTとチューリッヒ・ワールドタイムです。タンゴマットGMTのワールドタイム機能は、フレキシブルな第二時間帯表示です。24時間表示は「自宅」の時刻、つまり現在自分がいないけれども常に確認しておきたいタイムゾーンに同期します。一方、大きな文字盤の針と秒針は、現在自分が滞在中のタイムゾーンの時刻を時、分、秒刻みで表示します。そのタイムゾーンを代表する都市名を空港コードでウィンドウに表示します。複数のタイムゾーンを通過して移動する場合も、ボタンをクリックするだけで簡単に腕時計を調整できます。都市名表示と時針は、1時間ずつジャンプして進みます。一方、ノモスの自動巻き腕時計、チューリッヒ・ワールドタイムは、文字盤上で全世界の状況を把握できます。ここでも、自宅または恒久的な基準とする時刻を一度セットすれば、世界中どこでも必要に応じて、自分が滞在中の場所の現地時間をボタン一つで変更が可能です。大きな針の位置は、12時の位置にどの都市名をセットするかによって変わります。都市名ディスクと時針が連動するため、ノモスの自動巻きムーブメントを備えたこのエレガントな機械式腕時計を着ける人は、世界のどこに自分が位置するかを常に把握することができるのです。

ワールドタイム機能を備えた腕時計