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機械式腕時計とは?

手巻きでも自動巻きでも、機械式腕時計の動力源はゼンマイ仕掛けのメカニズムです。はめば歯車、スプリング、小歯車(ピニオン)その他のコンポーネントで構成される機械式ムーブメントが内側から腕時計の文字盤上の針を廻して時刻を表示します。機械式腕時計の動力はメインスプリングで貯留するエネルギーで、それをゆっくりと解き放ちながら針を動かします。このエネルギーは、定期的にリュウズを手巻きするか、自動巻き上げ機構のローターで自動的に巻き上げることによって生成されます。

機能

機械式腕時計の仕組みは?

すべての機械式腕時計は、同じ仕組みで動作します-つまり、キャリバーに貯留したエネルギーをゆっくり解き放ちながら文字盤の針を廻すのです。もちろん、それ以外にもたくさんの要素が関係します。機械式腕時計は、エネルギーをどのように取り込むかによって2つのカテゴリーに分けることができます。それが手巻きと自動巻きという2種類なのです。
手巻き腕時計が動作するには、手動による巻き上げが必要です。リュウズを巻き上げるとき、一連の「はめば歯車」(丸穴車と角穴車)を動かします。これらの歯車が、腕時計のリュウズからメインスプリングにエネルギーを伝送します。それとは対照的に、自動巻き腕時計は、通常手首に着けることによって巻き上げます。その動力源は機械式キャリバーで、巻き上げの役割を果たすローターを備えています。ローターは重りを載せたキャリバーの部品で、通常一番上に配置され、機械式腕時計の動力として必要なエネルギーを生成します。腕時計を着ける人の動作によって巻き上げローターが揺れ動き、往復を繰り返します。このエネルギーがまずメインスプリングに伝送され、それが巻き締められてエネルギーを貯留してパワーリザーブの働きをします。
エネルギーを再び解き放つ点では、2種類の機械式腕時計のプロセスは同じです。巻き上げられたメインスプリングは、再びゆっくりと緩み始め、腕時計の動力となるエネルギーを解き放ちます。そこで働くのが脱進機です。これはエネルギーの解放を制御する必要不可欠なコンポーネントです-その方法をご紹介します:メインスプリングで貯留したエネルギーは、輪列を介してガンギ車に伝送されます。テンワが往復振動を繰り返すに従い、エネルギーはガンギ車から爪石に伝わり、そこからテンワに伝わります。つまり、計時が安定するようエネルギーの解放を制御するのが脱進機だと言えます。そこから機械式腕時計独特の「チッ、チッ」という音が発生するのです!

機械式腕時計のムーブメントの主要なコンポーネント

機械式腕時計の主なコンポーネントは、ベースプレート、リュウズ、メインスプリング、輪列、脱進機、テンプです。自動巻きの機械式腕時計では、巻き上げローターがもう一つの欠かせないコンポーネントです。腕時計職人の教育機関で3年間かけて、これらのコンポーネントの組み立て方や相互作用について学びます。ここでは簡単にまとめてみましょう:
エネルギーはリュウズの巻き上げまたは巻き上げローターの動きで生成されます。このエネルギーが次にメインスプリングに伝送され、そこで貯留されて機械式腕時計のパワーリザーブとなります。エネルギーが解き放たれると輪列と脱進機を通ってテンプに伝わります。これらの部品をすべてベースプレート上に組み上げるのです-そしてグラスヒュッテでは、3/4プレートを最上部に配置し、精妙なメカニズムを覆って保護します。他にも伝統的な腕時計作りを続ける地域には、機械式ムーブメントを仕上げるそれぞれユニークな方法があります。そのユニークな特徴をもとに、エキスパートは機械式キャリバーがどこで作られたかを見分けることができるのです。

機械式腕時計に可能な複雑機構は?

機械式腕時計製造の世界で複雑機構と呼ばれるのは、時刻を知らせるという腕時計の主な役割を超えて備えることが可能な追加機能のことで、天文学的な月の位相や永久カレンダーといったもの、チャイムやリピーターなど一定間隔で鳴るよう設定できる音声機能、第2時間帯表示やクロノグラフといった追加計時機能などがあります。ノモス グラスヒュッテの腕時計には、パワーリザーブ・インジケーター、日付機能、ワールドタイム機能という複雑機能の選択肢があります。

機械式、自動巻き、クォーツ式、スマートウォッチ-その違いは?

簡単に言えば、内部のムーブメントの違いです。機械式腕時計はゼンマイ仕掛けのメカニズムが動力源で、これには自動巻きも含まれます。自動巻きの機械式腕時計は、手首に着けるとローターが動いて自身で巻き上げます。それとは対照的に、クォーツ式腕時計はバッテリーを動力とするクォーツムーブメントを備えています。最後に、スマートウォッチは純粋な電子機器で、スマートフォンに同期することがよくあります。これもバッテリーにエネルギーを貯留しますが、通常は外部の電源から定期的に充電する必要があります。

機械式腕時計を巻き上げ過ぎてしまう可能性は?

稀なことですが、その可能性はあります。手巻きの機械式腕時計は、リュウズの巻き上げが動力源です。パワーリザーブが増すに従い、リュウズで感じる抵抗も大きくなります。メインスプリングが完全に巻き上がると、明確な抵抗を感じられるポイントがあります。このリュウズの抵抗を超えるには、極めて大きな力をかけるしかありませんが、それでメインスプリングを破損することになります。それとは対照的に、自動巻きの機械式腕時計には明確な抵抗を感じるポイントが必ずあるとは限りません。そこで巻き上げ過ぎのリスクが若干大きくなります。とは言え、これは簡単に回避することができます:自動巻き腕時計が時を刻み始めるまで、2、3回リュウズを回せばよいのです。その後は、手首に着けて巻き上げを継続しましょう。

機械式腕時計は防水でしょうか?

もちろん機械式腕時計の防水は可能です。どんな腕時計でも、どの程度の防水性能かを決定する要因はケースです。ガラスとメタルケースの密閉が完全でなければなりません。また、巻き芯のすき間を通って水が入り込まないよう徹底するため、リュウズには特に注意が必要です。ゴムパッキン、ケース用ネジ、ねじ込み式リュウズといった機能で機械式腕時計の防水性能を高めることができます。例えば、ノモス グラスヒュッテの腕時計の防水性能は3気圧防水から30気圧防水までの範囲にわたります。「atm」という尺度は気圧-つまりどの程度の圧力にケースが安全に耐えられるかを表しています。この数字が大きいほど、機械式腕時計の防水性能が高まります。

利点

機械式腕時計を選ぶ理由は?

機械式腕時計が申し分ない選択となる理由はいくつもあります。腕時計を身に着ける人々の一部は、この伝統的な計時方法に惹きつける職人技を味わって楽しみます。その他、機械式腕時計は高品質の長寿命製品への投資だと考える人もいます。時刻を確認する方法が他にもたくさん存在するため、もはや腕時計は必需品ではありません。そこで機械式腕時計を身に着けることは、自分が大切にするものについて主張するという意味合いが強まっています。もちろん、実用的な存在でもあります!

クォーツ式腕時計と機械式腕時計、どちらがいいのでしょう?

簡単に言えば-場合によります。クォーツは比較的安価な材料で、信頼性の高い振動周波数を生じることから正確な計時につながります。クォーツ式腕時計は大量生産されることが多いため、価格も手ごろです。ただし、壊れてしまうと修理できないことが多く、寿命は限られています。それとは対照的に、機械式腕時計の価格ポイントは通常高めですが、わずかな心がけで一生愛用することができます。そのため、投資や深い意味を込めた贈り物として理想的なのです。

自分に最適な機械式腕時計を見つける方法は?

たくさんの選択肢があるため、どこから見始めればよいかわからないことがあります。そこで、検討するべき5つのポイントをご紹介します。

  • デザインと機能性
    どんな腕時計でも、主な機能は時刻を知らせることです。ですから、明確で読み取りやすいデザインであり、同時に見た目も魅力的なものを検討することが必要不可欠です。また、機械式腕時計は個人の持ち物として一生愛用できるように設計されているため、今後長年の好みにふさわしい腕時計を選ぶ価値があるでしょう。
  • 内側のムーブメント
    文字盤のデザインはもちろん重要ですし、腕時計が手首にふさわしい大きさであることも大切です。しかし、機械式腕時計の精度という点で決定的な要素は、内側のムーブメントです。高品質のムーブメントは、1日に数秒の誤差も許されません。つまり、ご自分の腕時計で時間通りに行動することができるのです。
  • メンテナンスのオプション
    機械式腕時計には定期的なメンテナンスが有益です。遅くとも5年ごとにメンテナンスできれば理想的でしょう。ご自分にどの腕時計が最も適しているかを検討する際、この点を念頭に入れておく価値があります。お近くにサポートしてくれる公式小売店もしくは腕時計職人のいる独立した時計店はあるでしょうか? また、必要な時期に機械式腕時計を直接送り返してメンテナンスを依頼できる腕時計製造会社もたくさんあります。
  • 投資の価値
    機械式腕時計を選択するのは一つの投資です。ですから、どの程度の見返りを期待できるか検討するのも理にかなっています。例えば腕時計には、転売市場で他のものより人気のあるブランドやモデルがあります。また、将来の世代に受け継がれ、何十年にもわたって愛用した後も申し分なく時を刻み続けるという意味でも投資の見返りがあります。
  • 材料の品質
    長年愛用できる機械式腕時計は、高品質の材料から丹念に作り上げる必要があります。医療グレードのステンレススチール (316L)、18金無垢のゴールドなどは、何時間も連続して肌に密着するケースに申し分ない選択です。サファイアクリスタルガラスは、流通する材料の中で最も硬度の高いものの一種で、腕時計のガラスとして下の文字盤を保護する上で最高の選択です。そしてストラップは、ノモスで使用するホーウィンレザー社製純正シェルコードバンのような上質のレザー、テキスタイル、ステンレススチールで、機械式腕時計の本来の居場所である手首に安全に固定します。

多くの場合、文字盤は機械式腕時計において最初に目につく部品です。時計の「顔」として知られているのには理由があるというわけです。そのため、この必要不可欠な部品のデザインは、全体的な魅力を決定づけるものとなります。文字、針、追加の複雑な機構の全てに役割がありますが、恐らく最初に注意を引くのは、文字盤の色でしょう。そして、これに関しては多種多様な意見と好みがあります。ここでは、文字盤の色に関するよくある質問に回答しています。

精度

機械式腕時計はどの程度正確なのでしょう?

精度に関する限り、機械式腕時計はいずれの種類(手巻きと自動巻き)にも多少の許容誤差が常にあります。例えばこれは、腕時計の着け方によっても異なります。気温や気圧の差、ちょっとしたショックや不規則な巻き上げなども影響することがあります
一般的に、ノモスグラスヒュッテの機械式時計は、1日あたり10秒未満の偏差を示します。この精度を確保するため、ノモスの機械式キャリバーには7日間にわたる6姿勢調整を行います。ノモス グラスヒュッテの腕時計は、文字盤とリュウズが全方向を向く姿勢で最高の精度を達成しなければならないのです。

機械式腕時計の正確性の根拠は?

機械式腕時計の正確性は、キャリバーの精度-特に脱進機と呼ばれる調速用の部品で決定されます。さらにノモスの機械式キャリバーは、クロノメーター基準に従って調整されます。そこでノモス グラスヒュッテでは、自社で開発して組み立てた脱進機でノモスのすべての腕時計を駆動するよう徹底しているのです。このコンポーネントはノモススウィングシステムとして知られ、ノモスの自動巻き腕時計がサードパーティのサプライヤーに頼らず正確に時を刻むよう徹底することを可能にしています。さらにノモスの機械式キャリバーは、クロノメーター規格に従って調整されます。つまり、ノモス グラスヒュッテのすべての自動巻き腕時計は、世界に向けて出荷する前に厳格な一連の正確性試験(例えば7日間にわたる6姿勢調整)を経て、正確な計時を確認しているのです。

長寿命

機械式腕時計の価格は変わらないのでしょうか?

腕時計が転売市場で価格を維持できるかどうかには、多くの要因が影響します。使用する材料の品質、製造に携わった熟練技能、デザインの美的な魅力などは、ほんの数例に過ぎません。高品質の材料、専門家の熟練技能、受賞歴を誇るデザインは、ノモス グラスヒュッテの標準です。ノモスのすべての腕時計(手巻き腕時計も自動巻き腕時計も)が長年価格を維持しているのもそのためです。ノモスの限定エディションは特に人気が高く、時の経過によって価格が上昇することもよくあります。

機械式腕時計は、どのくらいの頻度でメンテナンスすればよいのでしょう?

すべての機械式腕時計には、最適な機能を確保するための定期メンテナンスが必要です。遅くとも5年後には、腕時計職人が完全な整備を行う必要があります。これだけ時間が経つと、潤滑油が蒸発してしまった可能性が高く、金属同士が擦れ合う部分で摩耗が生じているかもしれません。ノモス グラスヒュッテでは、自社の腕時計職人が以下の作業を行います:腕時計の完全分解、全コンポーネントを特殊洗浄液で超音波洗浄、摩耗した部品の交換、キャリバーの再組立て、計時の精密確認、必要に応じて全機能の修正、6姿勢調整、数段階にわたるケースの完全補修、必要であればリュウズ、巻き芯、パッキン、ケースチューブの交換、防水性能の回復、そして数日間にわたる最終確認。また、年に1回防水性能のチェックを依頼することもお勧めします。パッキンはゴム製なので、酷暑などで劣化する可能性があるためです。

機械式腕時計は修理できるのでしょうか?

機械式腕時計の部品はすべて修理可能です。つまり、現在市場に流通する最も持続可能性の高い、サステナブルな製品の一つと言えます。大切に手入れした自動巻き腕時計は、一生の間、またはさらに長く動き続けるからです。それとは対照的に、スマートウォッチやクォーツ式腕時計の中の電子部品は修理できないことが多く、この種の腕時計が壊れてしまえば、交換するしかないということになります。

機械式腕時計を大切に扱う方法は?

機械式腕時計を完璧に機能する状態に保つため、ポイントをいくつかご紹介します。

  • 外部からの衝撃や強い磁力に晒すことはお避け下さい
    磁力はすべての機械式腕時計に影響を与える可能性がありますので、可能な限り避けるのが最善の策です。内側の機械式ムーブメントは、数多くの動く金属部品で構成されるため、磁気の影響で正確な計時が妨げられてしまいます。
  • 防水性能をチェックします
    すべての機械式腕時計が特に防水というわけではないので、濡らす前に確認する価値があります。お持ちの機械式腕時計が20 atmから30 atm(20気圧~30気圧防水)であればダイビングを楽しめます。防水性能が10 atm(10気圧)防水の場合、水泳やスノーケルに適しています。5 atm(5気圧防水)は、腕時計を着けたままシャワーを浴びられるという意味です。この情報が見つからない機械式腕時計は3 atm(3気圧防水)と推定し、乾燥した状態を維持する必要があります。
    プロのヒント:すべての機械式腕時計は、年1回腕時計職人による防水性能のチェックに出すことをお勧めします。この目的専用の機械がありますので、それほど時間はかかりません。
  • 落とさないでください!
    当たり前のことに思えますが、その通りです。大部分の機械式腕時計は、ステンレススチールまたはゴールドの上質なケースに包まれていますが、それでも落としたりぶつけたりすれば内側の機械式メカニズムに影響を与える可能性があります。しかしそうなってしまった場合、熟練した腕時計職人が修復すれば、機械式腕時計は再び手首で時を刻むことが可能です。
  • 使用しない腕時計は安全に保管します
  • 手巻き腕時計 プロのヒント
    巻き上げの前に、腕時計を手首から外しましょう! 巻き上げ過ぎを避けるため、明確な抵抗を感じたら巻き上げを止めましょう。
  • 自動巻き腕時計 プロのヒント
    手動による巻き上げは最小限に抑えます:数回リュウズを回せば十分、あとはローターが引き受けてくれます。水中ではリュウズを使用したり押し込んだりしないでください。

Mechanical Watches from NOMOS Glashütte

ノモスの腕時計はどこで製造されるのでしょう?

ノモスの腕時計は、ドイツのグラスヒュッテで丹念に作られます。175年にわたる腕時計作りの伝統遺産に根差し、各分野の専門家たちが一つずつ慎重に作り上げる腕時計です。機械式キャリバーを自社内で製造する独立製造所であることはノモスの誇りです。事実、文字盤に「グラスヒュッテ」と記銘できるのは、キャリバーの価格の少なくとも50%に相当する部分を歴史的な腕時計作りの町、グラスヒュッテで製造した腕時計に限られます。ノモス グラスヒュッテでは、その比率が95%にも達します。

グラスヒュッテの腕時計作りについてさらに詳しくご覧ください。

ノモス グラスヒュッテでは、どのように機械式腕時計を製造するのでしょう?

可能な限り自社内で行います。ノモスの腕時計は、キャリバーの価格の最大95%に相当する部分をグラスヒュッテのノモスで製造しています。自社内で、と言うのは、文字盤のデザインからキャリバー内の機械の革新技術、そしてもちろん腕時計の組み上げ自体もすべて自社内で行うということです。これは手巻きと自動巻きの腕時計両方に当てはまります。この戦略には、サプライチェーンを短く維持し、カーボンフットプリントをできる限り削減するなど、いくつもの利点があります。その結果は? 慎重に調達する高品質の材料で作られ、一生愛用できる高級腕時計の誕生です。

グラスヒュッテで作られる腕時計の典型的な特徴をご紹介します。

  • 3/4プレート、香箱、ガンギ車に到達する輪列:特に堅牢でひときわ美しい構造の背後には150年もの長い伝統があります。
  • グラスヒュッテ式巻き止め機構は巻き上げ機構の一部です。スイス製の巻き上げ機構と違い、ジャンパースプリングが長くカーブしています。
  • 最も優美な形の調速精度:スワンネック緩急微調整装置。
  • 青焼きネジ。ヤグルマギクを思わせるブルーは、スチールを290℃以上(華氏570度近く)で焼き上げる加熱プロセスから生まれ、腐食からも保護します。
  • 一点ものの風合い:ペルラージュ、畝織り模様、サンバーストの装飾仕上げ。

機械式計時の歴史 概略

時の経過は、意識のあるすべての生命体が共有する経験で、物事の変化を認識する表れです。空を眺めるのも初歩的なことです。石器時代の昔から、洞窟壁画には狩猟の場面と並んで星座が記録されています。星の移動に基づく「恒星時」を用いて1年の経過を追跡記録すると同時に、太陽の位置や月の位相から1日の時間を計測することが可能でした。指時針の影に基づく日時計(ひどけい)は、約5,000年も前に生まれた最も初期の時計です。古代の共同体では、例えば春分や秋分など、繰り返し訪れる最も重要な時期を農耕や宗教上の目的で明確化できれば十分でした。そのために巨大な石や柱を円形に並べて立てたのです。おそらくストーンヘンジが最も有名なその一例でしょう。
紀元前3,000年頃にはもっと複雑な社会-シュメール文明、エジプト文明、中国王朝など-の組織的なニーズから、一日を時間として一層正確に分割する必要が生じました。一定の間隔で流出・流入する水の基本的性質が曇り空でも機能する計時の手段として人気を集めました。それ以降、紀元前2世紀には水力式の輪列による初の機械式時計がギリシャで作られ、中世ヨーロッパでは振り子、バージ脱進機、棒テンプによる歯車式時計を職人たちが開発し、当初は教会の塔に使用され、さらに16世紀初頭には小型化されました。この間に分針が追加されましたが、それまでは時針1本のみが時計の標準でした。さらに100年後に振り子時計が特許を取得し、ヒゲゼンマイが発明されたことから懐中時計を作ることが可能になったのです。
時間への技術的な興味だけでなく精密な計時による実生活上の利点からも、精密な機械式腕時計の開発が推進されました。マリン・クロノメーターは、18世紀のヨーロッパ人の船旅に欠かせないものでした。そして1830年代以降、大量輸送の方法として鉄道が導入されたため、突然すべての人にとって時間の厳守が重要なものになったのです。
装飾的な留め金具による女性向けのわずかな例外を除き、20世紀初頭までは懐中時計が機械式時計の主流でした。手首に着ける機械式時計、つまり私たちが今日慣れ親しんでいる腕時計は、自動車の利用が増加した第一次大戦後に開発され人気を得たに過ぎません。何と言っても、ハンドルを握ったまま懐中時計をポケットから取り出すのは難しいからです。
スイスの機械式腕時計製造に加え、ドイツには19世紀末から重要な腕時計製造の中心地が2か所ありました。これはシュヴァルツヴァルトとグラスヒュッテで、いずれも第二次大戦直後のドイツ分割を生き延びました。しかし1960年代末、バッテリーによるクォーツ式腕時計が登場し、機械式腕時計産業全体が危機に陥ったのです。1920年代以降、振動周波数技術の研究が全世界的に行われ、1950年代には初の携帯時計用クォーツムーブメントがスイスで作られました。しかしながら、クォーツ式腕時計を大量生産して数年間市場を支配したのは日本企業だったのです。
今日、腕時計にはたくさんの種類があります。クォーツ式腕時計、スマートウォッチ-そして機械式腕時計も存在します。多くのお客様にとっては、最終的にその高質な職人技、デザイン、サステナビリティに取って代わるものがあり得ないのです。ますますデジタル化が進むこの世界で、機械式腕時計は伝統的価値の表現であり、価格を維持できる投資なのです。